肝細胞研究会は、肝臓を構成する細胞に関する生物学から肝疾患の病態ならびに治療法の確立までをあつかう、基礎と臨床が融合した研究会です。会員数は300名を越え、毎年1回開催の研究会は、肝臓研究の最前線の研究発表、最新の研究情報の交換と議論の場となるものです。肝臓は代謝臓器として、また免疫組織として臨床的に重要な臓器ですが、生物学的にもその再生能力、肝小葉構築、肝幹細胞そして発生・分化メカニズムなど、興味の尽きない臓器でもあります。また肝疾患の病態生理と肝発生・分化に共通のメカニズムや現象があるなど、臨床と基礎が融合することで、さらに新しい研究分野の開拓や臨床に有用なアイデア・技術が生まれうると考えられます。特に、分子生物学、細胞生物学が飛躍的に発展する現在において、肝臓の基礎と臨床研究者が一堂にそろう肝細胞研究会は大きな意義をもつと考えられます。
第15回肝細胞研究会は、平成20年6月27日(金)と28日(土)の2日間にわたって、静岡県男女共同参画センター『あざれあ』(静岡市駿河区馬渕1-17-1)において開催する予定です。最近の肝臓学の進展をふまえ、次のように特別講演、シンポジウムを企画いたしました。
特別講演 | 東京医科歯科大学名誉教授 和氣健二郎 先生 「肝類洞壁細胞の研究。過去、現在、未来」 |
シンポジウム1 | 「肝再生研究の最前線」 |
シンポジウム2 | 「細胞外環境設計による肝臓の再構築〜肝細胞の産業利用に向けて〜」 |
シンポジウム3 | 「肝障害と幹細胞 ― 肝修復における幹細胞の役割」 |
議論の中では、基礎と臨床がさらに融合し、肝臓学の現在の課題が明らかになることを期待しています。その他、意欲的な演題を募集いたします。これらに対しては、優秀発表賞やベストポスター賞を設ける予定です。
学生の方、若手そしてベテランの先生、基礎科学・基礎医学研究者、臨床医、工学研究者、企業の方々等により、肝臓学に関するmultidisciplinaryな議論が活発に行われることを強く期待しております。また、静岡は、北は富士山や南アルプス、南は駿河湾を臨め、徳川家康・慶喜公ゆかりの歴史的な地でもあります。(新幹線の旅行では途中静岡で降りられた先生は少ないかもしれませんが) 多くの先生方のご発表、ご来静を心よりお待ちしております。
第15回肝細胞研究会
静岡大学理学部生物科学科
細胞・発生プログラム学講座
塩尻 信義